海岸屋ふー通信


海浜住宅建築舎
by kaiganyafoo
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経師仕事その2

みなさん おつかれさまです。


一昨日 28日は 有限会社海岸屋ふー恒例の餅つきでした。
こうれいを変換したとき 高齢とでたので ちょっとムッとしましたが。
はい
恒例で
好例で
高齢・・です!ちっ!!





さて
経師仕事 その2 です。

前回は、4度の重ね貼りを終えたところまでだったんですが、
そのあとに貼った紙が圧巻。
経師仕事その2_a0157159_2320896.jpg
まず薄い。
これをベタ貼りするわけだけども、どうします?

ただでさえ濡れたら扱いにくい和紙なのに
これに全面 糊をつけたら持ち上げることもできません。
もちろん写真でわかるように糊の濃淡はいくつかのバットで分けてはあります。
答えはこれ。
経師仕事その2_a0157159_23383229.jpg
下敷き状の板そのまま持ち上げて壁に押し付けて それからそっとはずします。
経師仕事その2_a0157159_23402691.jpg
すぐさまふわっとはがれてくるのを撫で刷毛でそっと押さえる。
たぶん糊はぐっと薄い糊なんですね。

そして天井
経師仕事その2_a0157159_23432838.jpg
一人では はずした下敷きを置くこともできないわけで
こっちで糊をつけつつ、その下敷きはぱっと受け取って
手渡した人は刷毛で押さえていく。

「天井は一人では貼れませんね」と小野瀬さんが言っていたことはこれだったんですね。
たぶん
素人だったら一枚も貼れません。

そして左官仕事の場合 下地ほど、糊だったらそれを強くいれて
上塗りになるにしたがって糊を減らしていく というセオリーがありますが
それは経師仕事でも同じだったようでこのあとの仕上げ貼りはどうなるんだ と
傍でよけいな心配をするわけであります。

経師仕事その2_a0157159_00099.jpg

仕上げ貼りはもう撫で刷毛もつかいません。
別に用意した紙で上から押さえつけていく。
そして腰に差したものさしで間隔を測りつつ次へ。

こうして貼りあがった和紙の和室
昼間の表情
経師仕事その2_a0157159_092060.jpg

夕方の表情
経師仕事その2_a0157159_0112489.jpg

そして夜の表情
経師仕事その2_a0157159_0125856.jpg

経師仕事その2_a0157159_01520100.jpg
明かりを下において写真を撮っているのは撮影用に だからではなく
ここの部屋には天井照明がないから。

そのわけは、昔の和室には上からの明かりなどなかったから というもの。
もー
陰翳礼讃ですね。
というか
ここの部屋にどんな照明器具を取りつけたらいいのか という問いに
皆が納得できるだけのものが提案できなかった ということになるのかもしれません。
あるいは不遜な言い方になるのかもしれませんが
それだけこの和室の完成度が高いということかもしれません。
それは自慢ではなく 小野瀬修雅堂という仕上げ担当への賛辞です。



最後に本当の蛇足を申し上げますが
この経師仕上げは現代ではほとんど採用されることもないと思います。
湿式工法でもあるため手間がかかります。
和紙は生産が減少していて真正なものは高価でもあります。
ビニールクロスとは違って生活にも注意を要する。
でも
海岸屋は今回の工事をさせてもらったことを感謝しています。
それは 極上の仕上げだと思ったからです。
こんなに静かで深みがあって暖かい仕上げは見たことがない。


どなたか是非ぜひやってみて下さい。
このブログを読んでいるような高貴で奥ゆかしい皆さんには
いかにも似つかわしい部屋ができること請け合いだからです。よいしょ。
ねー 小野瀬さん。

たぶんネットなどには見向きもしないであろう
ひたむきな職人さんに呼びかけたりなんかしつつ
またね ということで。

by kaiganyafoo | 2014-12-30 01:11 | 工事 | Comments(0)
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