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久しぶりに大工道具のはなし。
碓氷健吾(うすいけんご)さんの鉋です。 寿一 という銘が切ってありますが これは碓氷さんの鉋のなかでは 一番安い方の鉋だと思います。 うちの近所の道具屋で買いました。 ずいぶん昔のことになりますが 「この鉋は切れるのを保証するから買いなよ。」 と言われて たしか 2万円台で買ったように思います。 今 裏だしをしていて あんまり いい状態じゃない。 左右の足の部分が太くなるのは 下手な証拠。 で 切れるのか と言えば 普通に切れる という鉋です。 青紙の特徴が良く出ている。 でも 貞秀とか坂田の鉋ほど硬くはない。 その原因はたぶんこれ この本の48ページに焼入のことが書いてあって 「現在は 大部分が鉛バス等で温度計を使用して適温まで加熱して焼入れしていますので均一で焼きムラ等もあまりないと思います。しかし、やはり昔からの伝統的な松炭とフイゴによる焼入れ法は、非常に熟練を要しますが、一番理想的な焼入れではないかと思われます。云々」 とあります。 そう 焼入れ。 鉛バスというのがあるんですね。 鉛が熔けている容器があって そのなかに鉋を入れて 加熱するんだと思うけど 正確にはわからない。 写真のページにその様子も写っているけど 碓氷さんの奥さんが焼入れをしています。 夫婦鉋の名の由来ですね。 たぶん新潟のような道具の量産地の特徴で こういった設備を整えて 製品の均一化をしているんでしょう。 ただし こんな鉋もある。 建築をしている人なら わかるでしょう。 変な鉋ですよね。 この刃には 天下一 と書いてある。 そう 超仕上げの刃を使って 手鉋を作ったものです。 普通の手鉋の刃にくらべて 研ぎにくい とは思うけど それでも 研ぐ方法なんか いくらでもある。 研磨機にかけてもいいんだし。 さて 普通の鉋は この大工手製の鉋にかなうのか。 超仕上げ鉋が どのくらい永く切れるのかは 大工だったらみんな知ってるはずだよね。 海岸屋が言いたいのは こういった工業製品の厳密さに比べたら 個人経営の工場の規格化というのは たぶん かなわないだろう ということ。 私達は こんな風景を以前に一度見ている。 鋸の世界がそれです。 伊之助だ 貞五郎だ いや大場だ宮野だ と言い合っていたものが ゼットソーの岡田というメーカーに 全滅させられました。 今でも手作りで鋸を作ることができる人は たぶん関東地方に二人しかいないんじゃないでしょうか。 これは 鋸 という一つの文化の滅びです。 それを鉋の世界で もう一度見ることになるのか。 海岸屋は 製品の規格化 均一化 の方向には 手道具の将来はないだろう と思っています。 その方向では 工業製品に負ける。 大きなメーカーが出てくれば 全部まかなえるほどの量しか 道具は必要とされていない。 碓氷さんの文章の後半に 炭の焼きいれ云々の言葉がありますが 海岸屋が 飽きもせず古い道具を買う理由は ここにこそある。 目と手と見当で作った道具は ときに理屈で説明できないようなものが生まれる。 鉋でいえば バカ切れする鉋。 飛騨に行って 杣職人と話して思ったのは 削ろう会主催の杉村さんたちの永切れテストで 最高の成績を残した神田さんの玉鋼の鉋は 焼入れ温度をどうしたんだろう という疑問。 青紙なら この温度 白紙ならこの温度 と メーカーから指定があるものを 玉鋼に関しては 全くあてはまらない。 そもそも 玉鋼自体が均一なものでもないし。 神田さんの焼入れを思い出すと 近代的な設備は何もなく ただ 気迫のこもった動作だけが記憶に残っています。 毎回くりかえすあの動作のなかから 時に 大工を感動させる鉋が生まれてくるのだと思うと はたして 進歩とは何か と考えてしまいます。 その問いはひるがえって 自分達の仕事をも切りつけてくるんだけどね。 あれ? かっこつけすぎ? まぁ そこまで行ってないか。 にほんブログ村 にほんブログ村
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