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蔵の耐火性能。
佐原ネタはこれでおしまい すまんね しつこいけどな。 蔵に求められる性能はいくつかあって 耐火性はその最たるものだろう。 他に防犯とか。 酒蔵なんかはまた別の理由だろうな。 蔵の耐火性能という場合 対象になるのは土蔵。 他にも石倉とかレンガ蔵とかもあるけど たぶん 数は圧倒的に少ない。 屋根は瓦を葺いて 壁は土を厚く塗り込んで不燃化する というのが土蔵。 この際 問題になるのが開口部で、 換気 採光のための窓と 人が出入りするための出入り口とが必要になるけど、 いったん火災がおきて延焼を防ぐ といった場合にはここが弱点になるだろう。 だから窓はこうなる。 このギザギザが気密性を出すための工夫だ。 これでもまだ不十分で、いざという場合には扉を閉めた上で 漆喰で隙間を埋めたり 間に合わないときは 味噌を詰める なんて話も聞く。 この扉の場合は中に鉄の格子があるから 外から閉めるんだろうな。 このギザギザはなんて名前か知らないけど その精密さが すごく重要だったんだろうと思う。 覆いをかけて 大事にしてるもんな。 「これじゃあ 閉められない?」 と思うかもしれないけど そこは工夫してあって 真ん中のクサビ一本を抜けば この覆いはすぐはずせるように見える。 その扉を看板に使っている例 この建物の場合 気になるのは一階部分で、 こんなに大きな開口部で 本当に防火性能があるんだろうか という 疑問がわく。 ここもそうだよね 二階部分の防火は もう本気としか思えないけど 一階入り口は あまりにも無防備に見える。 左右に袖壁が出ているだけで 防火のためのシャッターもスライド扉もない。 火事っていうのは二階部分が延焼のおそれが大きくて 一階部分はそうでもないのか? 二階の窓だけに防火扉がある。 こんなのを見ると よけいにそう感じるよな。 海岸屋が昔 火事場の片付けをしたときも 床板は全く燃えてなかったし、 一街区全部が延焼したものを片付けたときも ガラスが熔けるほどの熱量だったのに 畳はほとんど燃えずに残ってた。 でも一見 扉のないような外観でも こんなふうに内部にもう一つ防火戸がある場合もあるからなぁ 一階部分スライド式防火戸の例 こんなのが 店舗の内部にあるのかどうかを観察しなくちゃいけないのかな? 藤森照信 著 「明治の東京計画」 を読むと 蔵の防火性能がたいへんなものだ ということがわかる。 火事と喧嘩は江戸の華 といわれるほど大火が多かった江戸だが 明治政府になってから 強権的な防火政策がとられる。 明治14年の「東京防火令」で 石造 レンガ造 蔵造りなど 建物の不燃化改修を強制するなどの防火計画が進められた結果、 明治25年以降 大火(100棟以上が延焼したもの)は全くおきていない。 当時、不燃建築物の圧倒的主流は蔵造りだったことを思うと その防火性能の高さは証明済みと言えるだろう。 ま、今度は努めて店に入って 中の様子も見ておく ということで 今日はおしまい。 (ん? 続くのか?これ)
by kaiganyafoo
| 2010-06-16 07:31
| 民家
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