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海岸屋が親方のところを出てからいくらかの月日が経ちましたが、
その後親方のところには たくさんの若い弟子が来ています。 同じ時期に働いていたわけではないのですが やはりそれでも弟弟子ということになるんでしょうか。 その中の一人が電話をかけてきました。 親方のところを離れて実家に帰るのだそうです。 「いろいろあって」 と言うから いろいろあったんでしょう。 実家も大工だそうですから 大工を辞めるわけではないんでしょう。 借りていた道具を返したい と言われたんですが 餞別に貰ってもらいました。 「大事に使います」と言ってもらいましたが ものが叩き鑿だったので はたして使うかどうか。 つまり いまやほとんどの大工が自分では刻まない ということで 手で刻む大工になる ということはけっこう難しい選択だからです。 他人事のように言っていますが これは海岸屋から上の世代の責任です。 大工が手加工をすることが普通である、という世の中を 次の世代に残してやれなかった不甲斐なさがあるのです。 頑張れよ と言ってあげたいけど そんなことを言う資格は私らの世代には ないのです。 私らが望んで果たせなかった建築を 次の世代はかなえてくれるでしょうか。 望みをかけて 送り出すしかないのです。
by kaiganyafoo
| 2010-05-29 23:59
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