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最初に言っておくけど
今回の話は面白くないよ。 自信があるな。 昔 鉋鍛冶という映画を見たことがある。 自主上映とでもいうのか、こじんまりとした上映会だったけど いい映画だった。 ずっと後になって その映画でとりあげられていた鍛冶屋さんが 作った鉋と何度か出会った。 いくつかあるけれど みんなその人の鉋だと思う。 思う という言い方は中途半端だけど よそから頼まれて銘を入れずに作ることもあるし、 有名な名前の鉋を代作することもあるから。 この人の作る鉋は ほとんどが青紙(合金鋼)だけど 中には 白紙以上に 砥石当りの柔らかいものがある。 そんな鉋は 木にあててみても青紙とは判らない。 かすかに粘るような手ごたえがあって しかも永切れする。 私は鉋の鋼は圧倒的に炭素鋼(白紙)好きなんだけど こんな鉋に出会うと 根拠がゆらぐ。 いかにも青紙らしい という鉋は まだ至らない鉋だということなのか。 いかにも青紙らしい というのは、 砥石にのせたとき 少しすべるような手ごたえで 刃返りが遅く 削りのときは 軽く引けるものの 切っているというよりは 剥がしているような しゃりしゃりとした すこし頼りない手ごたえのあるものを指す。 刃持ちはいいものの 極限までの切れは出しにくく 杉などの 柔らかい材料を仕上げるのにはあまり向かない。 当時、鍛冶屋さんが青紙を使った理由は二つ。 材料の値段が安いことが一つ 焼き入れが容易なことが一つ 確かに ある程度の温度であれば焼き入れができる という鋼だから 雑に作ることもできるし 温度管理が厳密でない鍛冶屋さんでも そこそこの鉋をつくれるだろう。 三軒茶屋の土田刃物の主人も 合金鋼の刃物を認めていない。 新潟の岩崎航介さんも 安物は黄紙 並物は青紙 高級品は白紙 と、はっきりと区別している。 でも 昔 実用品としてさかんに使われた鉋のなかで その性能のために 名作として記憶されている鉋のいくつかは 確実に青紙で作られているはずだ。 佐藤巳弥冶さんの 伝寿などの一連の鉋 堤 朋一さんの 男盛や松寿など それから金井や 広貞などもそうではないか。 であれば、青紙の性能というのは 皆が思っているより 潜在的には高くて ごく限られた一部の鍛冶屋」だけが その性能を引き出すことが出来たのではないか。 例えば。 新潟の舟弘という鍛冶屋は 現在の鍛冶屋のなかでは 最高の技術を持つと私は考えているが 彼は ある鋼と出会ったときにそれを記念して元寿という銘を名乗った。 その鋼のどこに素質を見出したのかわからないが 当初は 最高とまではいえない出来の鑿だったものが それから数年たった作品では 格段の進歩で まず、理想的といっていい鑿になっていた。 常弘にも 越彦にも負けない。 本人に尋ねると その鋼をようやく使いこなせるようになってきた という返事が返ってきた。 たぶん 一つの鋼を使いこなすというのは 部外者が考えるよりも 難しいことなんだろうと思う。 厳密に言えば 日立金属で出している鋼も 完全に同一の品質を持っているとは言い難い。 あくまでも 決められた範囲での品質の保証でしかなくて どの成分が どの熱履歴が 切れ味に反映するのか まだ 誰も判っていないことなのかもしれない。 その判らなさ加減の中に 玉鋼信仰とか 名工の伝説とか 極端な値段のつく製品とか が生まれる余地がある。 まー 海岸屋もその中を うろうろと歩き回ってる一人だけど 技術が進んで 安くてものすごく切れる鉋が出来ればいい とは あんまり思ってない。 それは たぶんあんまりうまくいかない。 鋸の世界で 一回それを見ているから。 ま、鋸の話はまた今度。
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