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このあいだ葉書が来て
見てみたら 転職のお知らせだった。 いつもお世話になっている材木屋さんの 専務といわれる人が辞める ということで 海岸屋は だいぶ考え込んでしまった。 その人は30年以上のキャリアを持つベテランだし 海岸屋とだって10年以上の付き合いになる。 知識も豊富、やる気もあって、人柄もいいからいつも頼りにしてたし、 自分が工務店稼業をするためには 欠かせないメンバーだった。 材木が売れないのが 一番の問題らしい。 住宅建築業界は低迷が続いている と言われているのかもしれないが 材木屋は 真冬の状態だろう。 従来 材木屋が 木材を供給していた 在来軸組み工法自体は そんなに比率を減らしているとは思わないが、 その工法で住宅を建てている工務店が 材木屋から 木材を買わなくなっているのではないか。 一つは問屋や 製材屋から 直接買う方法で、 もうひとつには プレカットのルートが 材木屋を通らなくなっている問題がある。 では、 材木屋はもういらない職種なのか。 私はそうは思わない。 あと10年以内に 変わってくると思っている。 かつての左官屋がそうだった。 外壁はサイディングに変わり 内壁はビニールクロスに変わり 全く仕事のない時代が 長く続いた。 左官屋 冬の時代である。 ブロックを積み、タイルを貼り、 ときには基礎工事をしながら 左官業を続けていって 生き残った左官屋のなかで、 壁塗りが好きな者達が 珪藻土をきっかけとする 左官壁リバイバルの波に乗った。 ただ、そのあいだにも廃業する左官屋はたくさんいた。 かつての日本酒業界が 地酒ブームに沸きながら その一方で地方の造り酒屋の転廃業が止まらなかったのに似ている。 ただ、違いがあるとすれば 材木屋にとっての 客とは 工務店や 大工であると言う点だろう。 大工にとっての手足ともいうべき大工道具を作る鍛冶屋が あと数年で絶えてしまう現状を座視している 不見識は問題だが、 ずっと 手刻みで仕事を続けていくことに決めている工務店にとって 材木屋が転廃業することも 大問題 といって 騒がなくてはいけないはず。 去年 自動一面鉋 や 手押し鉋 といった 木工加工機を買ったときに ほとんどの機械メーカーが廃業していることに気づかされたが 零細規模の工務店が 住宅建築をしてゆくための環境は 年々 悪化してゆく。 構造材 内装材 そのすべてを知って 対処してゆくのは 仕事の分量としては 相当なもので 大工が 仕事の合間を縫って 手当てするには かなりやっかいなものがある。 さらに それぞれの乾燥の問題を含めれば 一工務店の負担できる範囲を越えて来る と思っている。 くだんの材木屋さんの顧客のなかでは 手刻み仕事を続けている会社が すくなくとも3社ある。 それぞれ これからどう対処していくのか。 というより ここまでなんの対処もできなかった 工務店連中の 力不足の結果でしかないのか。 この冬の時代を材木屋はどうくぐりぬけてゆくのか やがて必ずくる住宅業界のルネッサンスのために どんな準備をしておかなくてはいけないのか。 海岸屋としても 差し迫った問題として 対処をしていかなくてはならない。 #
by kaiganyafoo
| 2010-02-21 11:29
| 材料
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今日はいいもの見たな。
ね? 茅葺屋根の補修工事。 現場下見に行く途中だったから 帰りに寄ってみた。 江戸時代末期くらいのお宅だそうです。 壁はもちろん土壁。 基礎は石場建て。 そんで 屋根は茅葺だから 完璧な古民家だな。 あ、ちゃんと住んでるから なおすごいな。 普請帳や他の古い物もたくさんお持ちだそうな。 なんと海岸屋は屋根まで登ってみた。 いや、ほら荷上げに使ってたロープがおっこっちゃったからさ、 俺、持って行きますよ って言って・・ 手伝いですよ 手伝い。 「すみませーん 写真撮っていいすかー?」 70歳過ぎの職人さんで、近所の方で農業と大工と屋根やさんと・・・ おお マルチタレント! 「なんでもやんないと食えないっしょ?」っておっしゃるけど・・。 なんか、日本刀を改造したような道具が・・・。 「ああ、これか?俺ら これがないと仕事にならねえんだわ」 こっちの親方も「失礼しまーす」 ちょっと耳が遠いみたいで もー しぶい男前! 「あんたも職人かい?」と親方。 「あー 大工ですー ひまな大工で へへへ」 「こんなゴミだらけみたいな仕事 やだろう?」 「とんでもないっす 感激っす 初めて見ました。」 「そうかい?」 あ、いけね お茶の時間だ! 手ぶらだし! いやいやいや 勉強になりました。 また来まーす。 こんどは 手ぶらでなく。 お施主さま いろんな話を聞かせてもらって ありがとうございました。 #
by kaiganyafoo
| 2010-02-20 18:57
| 民家
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今日は道具のはなし。
以前にも書いたけど 先輩の大工さんに譲ってもらった鉋。 これ。 石堂の鉋です。 三軒茶屋の道具屋さんで買ったということでした。 台は伊藤宗一郎(たぶんね) この台はびっくりするよ いままで使ったどの鉋とも似ていない。 ぴったりフィットしているのに かっちりとしていて 今まで使っていた鉋の台が いかにグダグダだったかっていうのが判った。 んー 足にぴったりと合ったスパイクシューズ履いたかんじ? そのかんじがどこからくるのか わかんないのがなさけないけどね。 もちろん鉋刃の仕込みなんだろうけど。 手でぎゅっといれてここまでくる。 だから固くないよね。 でも、すごいホールド感はあるんだ。 なんでだろ。 それから 刃先がすこーし丸めて研いであるのがわかるかな? 刃持ちを良くするために こうしているんだと思うんだ。 バカみたいにまっ平らに研ぐところを 卒業すると こんな 手加減の世界に行くんだと思う。 先輩 すごいな。 海岸屋の研ぎは まだまだそこまでいってない。 ちょっと 自分で研いで この形を崩すのがもったいなくて 研いでないから もう全然切れないけど でも この鉋で鉋掛けすると 感動する。 切れない鉋で感動することなんて 変な話かもしれないけどね。 でも、そろそろ研ぐか・・。 もったいないけどなぁ・・。 大工道具、興味ない人には サッパリの更新だったな。 すまんことです。 え? 道具好きにとってもわけわかんない内容? そうかもしれない。 なおさら すまんことです。 #
by kaiganyafoo
| 2010-02-19 19:23
| 大工道具
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愛情が続くかぎり って
思わせぶりですんません 建築の話。 改装工事のときなどに お客さんに 「この家はどのくらい持つだろうか」 と聞かれることがあります。 地震や火事を別にして 建物の耐久性ってどのくらいなんだろうか 「旦那さんや私等よりも長生きするのは確かだけどね。」 とか まあいろんな返事をしますが、 いつもできるだけ長持ちするように と願いながら工事をします。 あるとき、やっぱりそんな質問をされて 「愛情の続くかぎり持ちます。」 と答えたことがあります。 まーロマンチックな返事やねぇ・・・。 50過ぎのおやじがねぇ・・・反省。 でも これは案外本当のことです。 これは もう無理だろ っていう建物でも 改修して大事に住む例はいくらでもあるし これ?これ壊しちゃうの? って例もある。 こっちはいっぱいあるね。 でも共通しているのは 「もう、いらないや」って思われたときに 壊されていく。 愛情が切れたんだね。 その家の持ち主の気持ちや都合は 千差万別だろうから 私等にできることは できるだけ長く愛される建物を作ること。 ときには こんなとこ工夫しました とか この材料はこんなに貴重なんです とか 説明もする。 黙ってても伝わる なんて かっこいいけどねぇ。 言葉惜しみはしない。 ベニヤや ビニールのたぐいはあんまり長持ちしないから できるだけ使わない。 高気密高断熱って、ほとんど石油化学製品で出来てるもんだから 古くなったら どうかな。 このあいだ見学に行った家は 昭和33年に建てられた家を 建築家がかかわって しっかりと改装した家だった。 基礎を補強して 水廻りを使いやすくして 断熱もして って基本はしっかりおさえてて、立派だったんだけど 一番良く見えるリビングの柱がこれ 貫の穴や 古い金物がむきだしなんだ。 これ わざとだよ こんなの隠すのなんか簡単だし 海岸屋もいつも隠してた。 きれいな板かなんか張って 新しい柱みたいにみせたりするんだ。 でもなぁ・・ 海岸屋は昭和34年の生まれだから この建物と歳はかわんない。 自分の手なんかも 長年の仕事で傷だらけだけど その傷をなでて 頑張った手だねぇ って言われた気がした。 その柱の傷を見たとき そう思ったんだ。 愛情ってそんなもんだろ。 見習わなくちゃなぁ・・ 勉強になったし なにより感動した。 #
by kaiganyafoo
| 2010-02-18 19:14
| 海岸屋ふーの流儀
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Comments(2)
寒いっす。
雪降ったりしてるし。 今日の現場は こんなかんじ 外壁が張り終わったらこんな外観です。 破風と端隠しが(屋根のへりのところ)がまだ出来てないけど。 あとはごく小さいひさしが 窓の上に付きます。 あ、アクセントに木製の壁と そこに看板も付けなくちゃいけない。 そんなこんなのお化粧をすると シャープでなおかつ 温かみのある印象になる(はず)。 「おお こんなかっこいい事務所、 自分のところにも作ってくれ」 って 誰か言ってくれないかなぁ・・。 (昼休みの妄想) #
by kaiganyafoo
| 2010-02-18 12:54
| 工事
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